さて。知る人ぞ知る人間椅子の「人間椅子」
これはメジャーデビュー前に出されたインディーズ時代のCD。
実は、YUKKAつん。このCD、何年か前に心の友の某スタジオPA娘に貰ったモノでして。
「いらないからあげるよ」ってあっさり言われた時は「ありがと〜」って
平静を装っておりましたが、内心は「マジでぇぇぇぇ!!!!らっきぃぃ〜〜〜〜!!」と
大はしゃぎしておりました。
買ってなかった上に、欲しいと思った頃には売ってない代物だったので
喜びは絶頂でしたよ(笑)
そして、メジャーデビュー前のミニアルバムにして、 この傑作揃いのラインナップに
更に大はしゃぎですよ。
この時は、オリジナルメンバーのGu:和嶋慎治氏とBa:鈴木研一氏に加え
Dr:上館徳芳氏(現在はGERALDの後藤氏ですね)
人間椅子の曲はどれも日本文学を意識した作詞構成に
プログレ&HMな楽曲に東北なまりの歌声という純文学和風HMバンド(変な表現:笑)
一曲目の「人面瘡」
曲の作りは明るめのHRなのに、歌詞がまさに谷崎潤一郎。
遊郭から足抜けするため愛人と共謀し乞食男を騙した菖蒲太夫、
身投げをした乞食男の妄念が人面疽となり、繰り広げられる復讐劇。
前奏のGuメロが美しく物語りの始まりを予感させ、
いきなりHRな バッキングとメロを弾き出す。
この激しいギャップの中で生まれる不気味な人間の怨念のなせるワザが
不可思議な大正時代の快活なイメージの底に隠れたダークな部分を彷彿させて面白い。
ちなみに聴いてたDahnaちゃまが歌詞に出てくる「らしゃめん」って何?という
質問をして来ましたが、大正初期の日本では外国人と日本人の婚姻は
認められず、妾(愛人)か小間使いとしてしか認められなかったのですよ。
一般人より格下と見ていたワケです。
それで、外国人男性のそばに使える日本女性を「らしゃめん(洋妾)」と
差別し迫害していたのですよ。石投げたり色々したそうです。
差別用語なのですね。はい、プチ知識でした。
3曲目の「りんごの泪」
これは今でもLIVEでやる事ありますよね〜。
生まれ育った青森を離れ、ひとり都会に売られてゆくりんごの哀しさ、
運命を受け入れる健気を歌う。
前半は故郷を離れゆくりんごの哀しみを、
後半は故郷に残される者の哀しみを歌います。
でも、曲はモロにMetalなのですが・・・ また、それが物悲しいんだ。
楽曲も途中からじょんがら節をメタル調にして、更に和嶋氏の熱いギターソロが唸る。
裏を読むと更にどこまでも暗い昔の日本の情景が見えてくるような
そんな気にさせられる完成度の高い一曲。
他収録曲も、それぞれ音楽的こだわりが色濃く見えるし、 ノリも良い。
狂気と猟奇と血生臭さを本来持っている日本の歴史を
今は忘れてしまったのではないかというくらいお気楽に流して生きている
人々をあざ笑うかのような明るい楽曲に流れるような文学歌詞。
音楽好きは2倍面白く
日本文学をも好きな方は3倍面白いCDですわね。
|